マネ≪ステファヌ・マラルメの肖像≫

<ステファヌ・マラルメの肖像>


 前回の続き。

しかしその只中で 時折 偶然にも 官展の壁に だが多くはそして確実に落選者展の画廊の壁に 奇妙奇天烈な油彩が現れ始めたのだ――なるほど大勢にとっては噴飯ものだったかもしれないが にもかかわらず 本物のそして思慮深い批評家にとっては非常に動揺を誘うものであり 「これはどんな類の男なのか?」とか「この男はどんな奇妙な教理を説いているのか?」などと自問せずにはいられなかったのである。というのもこの説教家の説くところに一つの意味があるのは明らかだったからだ。彼はその反復において一徹 その一徹さにおいて独自であったのだが その作品には当時まだ目新しく見慣れないエドゥアール・マネという名前がサインされていた。

ステファヌ・マラルメ印象派の画家たちとエドゥアール・マネ」より

マネ 登場の瞬間を
文筆家らしくもったいぶって描いているところ。
ということでせっかくなので
今週は
なかなかWEB上ではお目にかかれない
オルセー所蔵の<ステファヌ・マラルメの肖像>を。
1876年という表示が示すとおり
上の記事を記したお礼に描いたもの。
当時 本職が英語の教師だったマラルメであるが
生徒たちがこの絵を見て
アンニュイそうに葉巻をもつ姿が
あまりにその「雰囲気」を捉えているので
驚いたという逸話が残っている。
なお右手に葉巻が描かれているのだが
その下にあるノートが白紙であるというのも
意味のないことではないと個人的には考えている。
書けない詩人の象徴。

画像はOlga's Gallaryより拝借させてもらいました(てゆか日本語で借り元 明示してもあんまり意味がないような気もする)。