『英単語』その8 「第二章 年代的記述」≪1 二つの要素≫

第二章


年代的記述



二つの要素


 長い余談ではあるが、望むらくはこの章こそ大きな興味の的とならんことを。とは言え、後に説明されるものの何ものも、ここで語られることが役に立つことはないであろうが、また正確無比で本質的な事実として何ものも覆されることもないであろう。周知の通り古仏語は現代の英語に少なからず入り込んでいる。これからこれを一切明らかにしないでどうしようと言うのか。*1つまり1066年ウイリアム征服王率いるノルマン人の「イギリス征服」によるということ。戦い、敗戦そして勝利、人間と同じく語の間にも。そう、彼の地に対峙している二つの言語のうち、一方が野蛮で茫洋として消えてなくなる為に出来た言語で、また一方が、流動的で特徴らしいものもなく、全く安定していない言語なのだろうか?見てみよう。アングロ=サクソン語は、貪欲で、というのも現代英語のもとであるこの語族は、結局、多かれ少なかれ我が国の影響を受けて発達し続けたからであるが、中世ヨーロッパの文学史に洗練された完成度を示す詩を残したのである。我が国の言語の過去を学ぶものならご存知の通り≪自然な≫成長期はまさしく11世紀で終わっていたのであり、それ以降、ここに加えられたもの全ては、専門家による、意図的で表面的な操作なのである。従って、極めて完全なる二つの要素の混合といったものは、非常に大きな困難を伴ってしか起こらざるを得ないかのようであった。敗戦、勝利、戦いと私が述べたように。

*1:文法上の余談。フランス語に「どうしようと言うのか、何になろう」という熟語がある。「ア・クワ・ボン〜」と言うのだが、これにバカのBを頭に付けて「バカボン」にしたという噂が実しやかに流れている。真偽のほどは分からないが。