『英単語』その17 ≪4 アングロ=サクソン語とオイル語の戦いそして英語への融合≫

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アングロ=サクソン語とオイル語の戦いそして英語への融合


 ノルマン人とアングロ=サクソン人と同じ戦場で戦うことになった二つの言語の要素とは斯様なものである。それからずっと後になって、城や町で融合することになったのだ。
 まだまだ発展する力を持っていた、固定されていない二つの言語とは言え、各々既に歴史上にその状態を示すほどには充分安定したものを持っていたからこそ、これらの融合が可能であったのである。英語は絶えず入植以来洗練され、フランス語は新しく活力に溢れ、完成度も高いものであった。これらのやり取り全ての位相に目を向けること、それこそがこの「序文」の歴史的な箇所の始まりと言えるところなのだが、この「序文」において先立つものが二つの「序言」ということになる。「征服」とともに幕を開け、二つの言語が事実上もはやひとつの、調和が取れ纏まった言語以外の何ものでもなくなるような天才的な最初の作品が出るまでの期間は、1066年という年数の入った『ヘースティングスの戦い』と十四世紀後半の『カンタベリ物語』の間ということになる。さらにこの年数を分け、1250年をその間とすれば、すぐにも重要なことが明らかになる。つまりそれが厳密な意味で言う英語の二つの形成期なのだ。
 征服の衝撃は直ちにアングロ=サクソン語に致命傷を与えた。激しく揺さぶられ、分析的小辞と一緒にあった豊かな格語尾を失ったのである。しかし、ここでもやはり、この教科書の当巻の題を思い起こせば、「語彙」のみに限定して考察し、「文法」のことには触れないのが適当である。