ルーぶる



世界一美しいけつ、



けつ、



そしてまたけつ。


百聞は一見に如かず
とか言うけれど
一見の百度は百見に如かず。
そりゃまぁ感動は薄れるかもしれないが
いいものは見るたびに発見がある。
味わい深くなる。
ヴィーナスはけつがいい。
そしてまた、
横から見れば
世界で一番美しい
ちんば
でもある。

ルーヴルというところは、
最初、規模が大きすぎて
いやになって
オルセーの方がいいなぁなどと
安易な感想を抱いてしまうものだが、
何度も通ううちに
偉大な盗人猛々しさに感服してしまう。
一生かかっても無理だという空しささえ教えてくれる。
それでも
通うたびに
好きになってゆく作品、
また
急にフォーリンラヴしてしまう作品に
(例えばこんなの)
出会うのでこれまた止められない。


遠近法がなく
技術的にもまだまおぼつかないだけに
敬虔な気持ちがいやというほどにじみ出ている
古い宗教画、


メムリンクの諸々の作品、


ルーヴルで最も新しい作品であるブラックの天井画、


レオナルド・ダ・ヴィンチモナリザは相変わらず
なにがそこまで賞賛される理由があるのだかわからないけれど
洗礼者ヨハネ
官能的な表情。
エス様、来るよとでも言うかのように
微笑みながら人差し指を天に向ける仕草など、
苦行僧でありながら、
最後はお后さんに惚れられたがために
首をはねられるという、
お色気むんむんの最期、
そんな一筋縄ではいかない生涯を
巧みに表現し得た唯一の洗礼者ヨハネ像だと思い
いつだって、しばし、眺めてしまう。
しかもよく見ているうちに
写真では知り得なかった、
というかまったく見えない
指の背後に心霊写真のように描きこまれた
十字架に気付く。



そんな中、
とびぬけてルーヴルで一番感動してしまう作品はというと、
やはり、
べたを百も承知で[100ベタ]、
どうしたって断トツ
サモトラケのニケなのだ。



階段をのぼった踊り場に待ち構えるニケ、
そこを訪れた人は
階段の下から見上げるようにして
ため息交じりで
この作品に近づいていくのだ。
その上の天井はガラス張り、
自然光を取り込んでおり、
今にもはばたかんとするその仕草と
これでもかと見合っていて
何度見てもむせび泣きそうになる。
しかもだ。
ルーヴルの頂点を極めるこの作品には
顔がないのだ。顔が。
これは
奇跡と言ってもいいんじゃないか。
少なくとも、
ニケに顔があったらねぇ、
などと残念がる人はいないだろう。