乙女心鷲摑み系


天才肌の芸術家を
どうしても
体の芯から好きにはなれない。
ピカソとかコクトーとか。
そんな彼らを総じて乙女心鷲摑み系と呼んでいる。
とはいえ彼らの作品をひとまとめにして見れば
ごめんなさい、ごめんなさいと
逐一、
謝らなきゃならないのだが
ほとぼりが冷めれば
あ〜、ラバ(彼岸)の人ね、
で片付けてしまう。
そんな中にあって
例外中の例外が
ピカソのミノタウルスシリーズだ。

この連作を前にすると
女にはきっとわかるまい、
ピカソよ、お前もか、と
ミノタウルスの切なげな眼差しを見て
どうしようもなく愛しさを感じ、
しばし歩みを止めてしまう。
もちろん、手前勝手な解釈だから
画家本人がどう思って描いたか知る由もないが
淫乱のピカソだって
やはりあれに罪悪感を感じていたんだと
どうしても思えてしまう。
そんなわけで
男の原罪の確認と
同時にまたそれへの礼賛をやってやろうじゃねぇかと、
こんな磔刑像を部屋でこしらえてみたりしている。



ちなみに牛頭はパイプヘッドだ。