ストラスブール焼



朱の大輪で有名なストラスブール焼き。
十八世紀に三代にわたってアノン[Hannong]一族により
定着されたこのデザインは、
現在もストラスブール焼において守られているのみならず、
フランス国中、さらには世界中にと言ってもいいであろう、
明らかにこのモチーフを意識したものが見られる。
フランス国内ではリモージュ
ここからインスピレーションを受けたなというモノを見かけたし、
世界ということになれば、
上に貼られた写真などがその典型である。
要するに私が入手した「ストラスブール焼」は贋物なのである。
上の写真のものの底には、ティファニーポルトガル
もちろん英語つづりでスタンプが押されている。
この本物のティファニーの贋物のストラスブール焼のプランター[我が家では米櫃]は
本物のストラスブール焼に比べれば
二束三文であった。
後に、クリニャンクールで本物のストラスブール焼を手にとって
眺める機会に恵まれたが、
見た目も、
本物のストラスブール焼と比べると、
二束三文であることが分かった。
なぜだか知らないが、
聞けば、赤は比較的色付けしやすいということなのに、
こちらの陶器の赤はしばしば
濁りがあって
私は熟女レッドと呼んでいるのだが、
要するに、
ちょっぴりどどめ色で、
少なくとも陶器の繊細さをぶち壊すオバタリアンな色になってしまっていることが
非常にしばしばある。
上の写真も例外ではなく、
我が家では、わりと付き合いが長いにもかかわらず
正直なところ
あまり情が沸いてこないのだ。
しかし、
本物のストラスブール焼は
やはり多少は熟女色なのだが、
その陶器の厚みとやはり熟女な赤い縁取りとの
バランスが絶妙であるような気がして
そもそも大輪の花のモチーフが私好みではないのだけれど、
それでもやっぱり、
何度目撃しても、新鮮な眼差しを向けてしまうのだ。