ヴェスターヴァルト



WESTERWALD
とうとうアルザス・ロレーヌの国境を越えてしまった。
土に国境はないのだ。
ライン川沿いの奥深い山地にあるヴェスターヴァルトも
エエ土が取れるようだ。
いろいろチェックをしてみると
ここの粘土を加工してガーデニングの土として販売もされている。
そんな土が取れるところだから
やはり焼き物も
早くから知られており、
フランスでも貴族の調度品などが
展示されているところを注意深く眺めてみると
ここのジョッキが陳列されているのを目撃できる。
私としても
ここの蓋付きのジョッキでビールを飲んでみたいと
長い間憧れていた。
たいていは
ごてごてと田舎っぽい
群青色をベースにした意匠が描かれていて、
ふたももっと凝っていたりするのだが、
現代人としては少々大げさなのでできうる限りシンプルなものを探していて
えいやと購入したのが
このジョッキ、
しかし一リットルも入るジョッキで、
750MLのビールを注げばちょうど泡のぶんも入るので
なかなか豪快でおつなものである。
しかも、なぜかおいしく感ずる。
ぐいぐいと飲めるからというだけではなく
陶器の柔らかいフォルムが
唇に伝わるのだろう、
飲んでいて実に心地がいい。
飲酒量が増えていけないのだが。