他人の空似

目が悪くなった上に、
留学したせいで
ちょっとばかし浦島太郎状態になっているのだろうか、
しばしば誰かに似ている人を見かける。
しかも声をかけそうなぐらいに似ている人たちとたくさん出会う。
どちらかというと
親しみの量に反比例するようで、
やはり記憶があいまいになっているせいか
その似ている人を見て、あ、似てる!と思うと同時に
そういえば、本人は今ごろどうしているのだろう。。。といった具合なのである。
これがあまりに激しいので
もはや最近などは
似ている!と喜ぶだけではあきたらず
本人めっけ!と思い込むことにしているのだが、
これがなかなかシュールで個人的な楽しみとなっているのだ。


あんなに奥ゆかしかったMちゃんが
喫煙所でぱっくり股をおっぴろげ、のけぞって
ハイライト吸ってるよ!とか


とびきりおしゃれに気を使っていた
Nが夕刊を自転車たちこぎで配ってて
額に汗してるのを見て、
新たなダンディズムを開発中なんだな、と思ったり。


それもこれも茫洋とした記憶がなせる技なのだろうが、
しかし、昨日とうとう見てしまったのだ。
おれを。おれが向こうでひじついて本を読んでたのだ。
あれは確かにおれだった。
おれはやっぱりおれの好みの顔をしていると改めて思った。
けれども、それを非常にどうでもいいこととも思った、というか
どうでもいいやと、たいして何も感じなかったので
やっぱりまたいつかおれはおれを目撃することになるかと思う。
今度のおれは何してるだろう。
今からわくわくする。