講演「ヴィリエ・ド・リラダン」

ヴィリエ



マラルメは詩人として
知られているので
詩を先ず読もうということになるのは
自然の流れですが
個人的には
訳を読んだところで仕方がないと思っております。
あれら翻訳詩はボードレールランボーも含めて
私自身 誰の訳であれ
楽しめた験しがないので、
参考書とみなしております。
むしろマラルメの場合、
あえて読もうとするのなら
散文です。
それも晩年の。
これとて
私自身
マラルメを読み始めた当初は
ちんぷんかんぷんで
やっぱり 大枚はたいてまでも
本を買って読めとはお勧めできませんが
彼をコピーライターとして
読めば少しは興味の対象となるかもしれません。
というのも、
特にそのエクリチュールの苦悩振りを知れば余計にそうですが、
あのぐだぐだ続く文章の靄から
突如
嗚咽をもらしてしまいそうなフレーズが姿を現すからです。
現代音楽のようでもあります。


そんな幾つかのうちからひとつのフレーズを。
親友ヴィリエが死んで、
マラルメは彼についての講演を行ないます。
その出だし。

Un homme au reve habitue*, vient ici parler d'un autre, qui est mort.


Mesdames, Messieurs.



夢を常とする男がもう一人のそういった男のことを語りにここに参りました。彼は亡くなったのです。


メダム、メッシュー(皆様)

結局、わしの思い入れなんやろか?